あとがき


まずはここまで読んで下さった皆様ありがとうございました。

このお話は友人が通りゃんせを歌っていたことに影響を受けて、書き始めたお話です。
通りゃんせの唄を上手く活かしきれなくて、途中で左斜め方向にずれた気がします。
書き始め当初は深く考えませんでしたが、書いていくうちにこのお話は私の中で一つのテーマを持ち始めました。
伝承の終わりです。
このお話は蓮と唯那の物語主体で進んでいきますが(自分ではそうだと思っている)、二人の悲恋物語ではありません。
エピローグが健太の一人称で締めくくられたように、健太のお話だと思っています。
健太と唯那の話であり、忘れ去られた神と伝承の終わりを見ることになる健太の話です。だから、蓮の世界での蓮と唯那の会話はあまり考えていません。
蓮は名のある神ではなく、地域に根付く、そこにいる人々の想いが形となり、生まれた神でしょう。
蓮が本当にそこに存在していたのかわかりません。しかしその存在を通して、二人は心を通わせ、健太は大切にする、守ることの意味を知り、唯那は喪失とずっと見守ってくれていた大切な存在に気が付く。そんなことを描きたかったように思います。力不足で表現しきれていない気もしますが・・・。
健太の話だと言いながら、出番が少ないのは私の力不足です。少しだけ登場している千由紀も大事な構成要素の一人。彼女の立ち位置は、健太の対極です。祖母から同じ話を聞いていながら、それを忘れてしまった、伝承を途切れさせる人となります。

約22772文字、400字詰め原稿用紙に換算すると約76枚。他の人たちから見れば、全然長いと言えない量ですが、私にとっては十分長編な感じです(笑)
兎にも角にも無事?完結させることが出来たのは奇跡に等しいということです。
ちょこっと番外編?いや、外伝か?なるものを考えたりしているのですが、いつになるかも書くのかさえ分かっていないので、期待しないで3年後くらいに・・・。

では、この作品で少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。

2010/09/25 choro







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